2020年の民法改正によって、賃貸の連帯保証人の制度に変化が
2020年、民法が改正されました。賃貸契約にほぼ必須である連帯保証人に対する影響がある内容ですので、変更点をしっかりと抑えておきましょう。
具体的な連帯保証人の制度の変化
今回の変更点は、連帯保証人を守るという観点での変更となります。
具体的に変更点は
というものです。それでは、見ていきましょう。
極度額を設定しなければならない
賃貸契約の債務というとイメージしやすいケースとして家賃の滞納がありますね。
家賃の滞納というのは、滞納した月を重ねれば重ねる程ドンドンと膨らんでいきます。
連帯保証人というのは「一切の責任を負う」ものになるので、これまでは膨らんだ全てを補償しなければなりませんでした。
しかし、それがこれからは変わります。
今回の民法改正で「極度額」を定めなければならないとなりました。
極度額とは要するに責任範囲を限定的にしなければならず、賃貸の契約書に明確に「〇〇万円までを上限にする」などの記載が必要になりました。
連帯保証人は、この極度額を超える責任は負う必要はなくなるという事です。
これからの契約では、このような極度額の記載がない連帯保証契約は無効になります。
事業用賃貸物件の連帯保証人には、借主からの財務状況の説明が必要
事業用の事務所や店舗などの借主は、連帯保証人になる予定の方へ財務状況の説明義務が付けられるというお話です。
上場しているような企業であれば、事務所や店舗を借りる際に連帯保証人は不要になることが多いですが、設立から日が浅かったりする中小企業の法人ではそうはいきません。
よくあるケースとしては、代表取締役が個人で連帯保証人になるケースが多いです。
しかし、まだ会社の信用力が低い状態ですと、会社=代表取締役と判断され、第三者を連帯保証人にしてほしいという話が大家さんからくることがあるのです。
そうなった場合は、第三者に連帯保証人をお願いするしかありません。
そこで今回の変更点による注意が必要なのです。
しっかりと事業が継続できる見込みがあることを連帯保証人を依頼する方へ今の財務状況を説明しなければいけないのです。
逆に連帯保証人を依頼された方は、しっかりと今の財務状況の説明を受けてください。安易にならないようにしてくださいね。という国からの指摘です。
もし、連帯保証人に対して、財務状況の説明をしなかった場合には連帯保証契約を取り消されることになります。
連帯保証人が借主の財務状況を誤解していた場合でも取り消せるということです。
2020年の民法改正によって、賃貸の連帯保証人の制度に変化が【まとめ】
今回の民法改正により連帯保証人のリスクが改善されましたね。
改善点は、「極度額を設けること」と「事業用賃貸で第三者が連帯保証人になるケースなら、財務状況の説明義務がある」というものでしたね。
どちらも、連帯保証人を守るという改正ですね。
ただ、賃貸契約の今の流れとしては、「連帯保証人不要で保証会社必須」の流れが強くなってきています。
賃貸契約で個人の連帯保証人を求められるケースは、今後ますます減っていくのではないでしょうか。