賃貸物件を防音対策で選ぶなら鉄筋コンクリート造が良い?
マンション等の集合住宅では、多くの家族が同じ建物の中で生活をしています。
人間が生きていく中で生活音が発生するのは避けられません。
自分が発生させる騒音は仕方がないと思えても、他人が起こす騒音にはストレスを感じるものです。
また、気になる騒音は生活音だけではなく、工事の音や車の音など、外からの騒音もあります。
生活音や交通音などの騒音は、建物構造によって響き方にかなりの違いがあります。
一般的に建物の構造では、鉄筋コンクリート造の建物は防音性能が良いと言われています。
今回は、建物構造と騒音の関係について考えてみましょう。
建物構造は大まかに3種類
まず、建物の構造について少しお話します。
物件の資料には、よく見ると必ず建物の構造は記載されています。
それは、建物の骨組み部分がどのような材料で構成されているのかを記しています。
様々な建物構造がありますが、一般的な賃貸物件に採用されている建物構造は大まかに分類すると「木造(W造)」「鉄骨造(S造)」「鉄筋コンクリート造(RC造)」の3種類です。
日本の気候や風土にマッチした木造(W造)
木造住宅は、季節によって乾燥したり湿気が高かったりする日本の気候に適しています。
コストも抑えられるため、多くの建物で採用されています。
デメリットは、耐火性能が低く、また防音性能に関しても全建物構造の中で最も低いです。
柱部分に鉄骨を使用している鉄骨造(S造)
建物の強度を高めるために、柱部分に鉄骨を採用しているのが鉄骨造です。
鋼材の厚みが6mm以下のものを「軽量鉄骨造」、6mm以上のものを「重量鉄骨造」と分類しています。
一般的な物件には軽量鉄骨造、高層マンションやビルなどの大規模建築物には重量鉄骨造と使い分けられます。
防音性能に関しては、木造よりもわずかに高くなる程度です。
コンクリートを使用し、高重量で強度の強い鉄筋コンクリート造(RC造)
鉄筋を組んだ型枠の中にコンクリートを流し込み、建物の柱や壁、床等を構成しているのが鉄筋コンクリート造です。
建物としての強度が確保できるので、自由な設計で建築することが可能になります。
鉄筋コンクリートは不燃で強度も強く、耐震、耐火に関して高い性能を持っています。
さらに密度が高く高重量のため振動が伝わりにくく、防音性能が非常に高くなっています。
鉄筋コンクリート造でも防音対策は万全ではない
説明した3つの建物の構造上、一番防音性が高いのが鉄筋コンクリート造であるのは間違いないです。
実際にお部屋探しをされている方で、運悪く過去に騒音問題を抱えた事のある方で鉄筋コンクリート造限定でお部屋探しをされる方は、たくさんいらっしゃいます。
しかし、鉄筋コンクリート造に住んでたけど、意外と騒音あったけど…。という方もいるのです。
実は、鉄筋コンクリート造だから安心と言われるとそうではないのです。ここでは、鉄筋コンクリートへの疑問を投げかけてみます。
鉄筋コンクリート造でも防音対策は万全ではない
音は空気の振動によって伝わります。振動が伝わりにくい建物であれば、音も伝わりにくくなります。
建物の中で最も空気の振動による音を伝えやすい場所は「窓」です。
その次に考えられるのが、壁から伝わってくる音になります。
建物には必ず窓がありますから、窓から伝わってくる音は避けられません。
つまり、騒音対策を考えるときには建物構造だけではなく、窓等を含め複合的に考える必要があるわけです。
すべての壁の中に鉄筋コンクリートが使われていない
鉄筋コンクリート造の集合住宅であっても、各住居を隔てるための壁をどのように作られているのかがポイントになります。
賃貸物件の概要欄に「鉄筋コンクリート造」と記されている建物でも、各住居を隔てる壁にコンクリートを使用している建物と使用していない建物があります。
建物の四方を囲む部分は鉄筋コンクリートで作られていますから、外からの騒音には強いですが、各住居を隔てる壁が石膏ボードだと隣室からの騒音に関しては木造と同じレベルになってしまいます。
各住居を隔てる壁にコンクリートが使用されているのか、見た目だけで判断することはできません。
不動産会社の営業マンもそこまでの詳しい情報は持っていないでしょう。
実際は、お部屋の内見時に壁を軽く叩いてみたり、ベランダに出て隣の住居との距離を見て壁の厚さを推測するなりしているのが現状です。
詳しく調べるためには、不動産会社の営業マンに設計図面を仕入れてもらって確認してもらうようにしてください。
防音対策で選ぶ「通気性について」
日本には四季があり、気候に合わせた建物を考えた時に「通気性」は重要な要素になります。
通気性は、室温や湿度に関してはメリットになりますが、防音性に関してはデメリットになってしまいます。
音は空気の振動によって伝わりますから、通気性の良い建物は音も伝わりやすく、密閉性が高く振動の伝わりにくい建物であれば音も伝わりにくくなります。
防音対策で選ぶ「内見のタイミング」
建物内の壁が石膏ボードのみか判断できない時は、休日など生活音が大きくなりそうな時を選んでお部屋の内覧に行ってみてください。
家具の入っていないお部屋は音が響きやすいので、隣室の生活音が聞こえるかの判断ができると思います。
賃貸物件を防音対策で選ぶなら鉄筋コンクリート造が良い?まとめ
騒音に関しては様々な要素を複合的に考える必要がありますが、素材の面で考えるとコンクリートは音を伝えにくいので、防音対策に関して鉄筋コンクリート造が有利であることは間違いないと言えるでしょう。